「信州風の家」随想録

福田先生と高橋先生

　先週は、アジア学院元スタッフのタネ（村尾）さん、そしてその大学時代の恩師の福田先生、以前から支援者としてお世話になっている高橋先生が来て下さった。福田先生は御年77歳。専門は国際貿易論。お若い頃は学生運動にも熱心、また日本アルジェリア協会の中心人物の一人としても活躍されていたそうで、学生運動の話や北アフリカの話など、初めて伺うお話満載で大変勉強になった。高橋先生は御年70歳。かつて児童相談所で働かれ、今は以前から興味をお持ちの地学と石の勉強に、時々糸魚川にいらしている（糸魚川は石に関心ある方々にとっては「聖地」とのこと。石や地学に関する講座もたびたび開かれるという）。福田先生、高橋先生、お二人とも人生の大先輩だが、今も常に好奇心そして学びの意欲をもって歩んでいらっしゃるお姿に、敬服の念を抱かずにはいられない。そしてこうした先輩方（信者でない）が「信州 風の家」を訪れて下さり、ご一緒に食卓を囲みお話をして下さり、しかも翌朝の「ミサの食卓」までご一緒して下さることは、本当にうれしく感謝である。「信州 風の家」を開設して良かった、と思うひと時でもある。

ベスさん＆お仲間の来訪

　　先週末、私が16年前（2006年）に研修休暇制度を活用して入学した、プロテスタント系専門学校「アジア学院（アジア農村指導者養成専門学校）」の元スタッフ、山口能子さん（通称ベスさん）がこちらを訪問して下さった。当時は食品加工部のスタッフ。アジア学院内で取れる農産物をジャムやクッキー等々に加工する仕事をされていた。今はアジア学院の仕事を辞め、学童保育で働いているという。実は、当初はベスさんだけの訪問、という予定だったのだが、南小谷駅でベスさんを迎えて白馬のカフェで話を伺っていると、ベスさんの友達にはユニークな方が多く、そして偶然、皆さん風の家にそこそこ近い所に住んでいるという（ただお一人は遠い富山県南砺市からだったが…）。そこで私がわがままを言って、そのお友達に連絡を取ってもらい「信州 風の家」に集まることに。お会いしてみると確かに皆さんユニーク！富山で自然農法を実践している加藤さん、国連職員その後JICA（国際協力機構）で世界を飛び回っていたカズさん、草木染や機織りに興味のある野島さん。皆さんの話を伺っていると、世の中にはこんな生き方（体験）をしている人がいるんだ…と改めて感動し、人の出会いの不思議さ、面白さを感じることができた。こうしたユニークな人々との出会いを、私一人のものにしておくのはもったいない。特に、今将来を考えている若者たちに、いつかこうした方々との出会いと話を聞くチャンスを提供できないか…と思った。

高橋さんご夫妻の来訪

　　先週の6月16日（木）、高橋ご夫妻が「信州 風の家」を訪問して下さった。現在は京都にお住まいだが、前回の伊藤都さん同様、今から２６年前の司祭（神父）叙階後に初めて派遣された、東京の立川教会で大変お世話になった方々である。夫の高橋博さんは、元日本オートキャンプ協会の専務理事であり写真家でもあるアウトドアの専門家。そして最近は、危機的状況に陥ったカトリック学校の経営立て直しに携わり、数々の実績を上げて下さっている。そんな博さんから、”公立校が設備においても教育内容においても充実の度合いを増している昨今、どのようにカトリック校がその特色を活かし魅力を生み出していくのか…それは今までと同じことをやっていてはダメで、現代社会の要請を見極め、的確に答えていかねばならない。しかもその刷新のためには、時に身を切る苦しみを乗り越えていかねばならないこともある”、というようなお話を伺った。お話を伺いながら、刷新の必要は学校の問題だけでなくて、教会全体に言えることだと思った。

　かつてこの世に「新たな救い」が訪れるためには、イエス様の「十字架」の苦しみがあった。そして今でも、新たに何かが始まり生まれる時、そこにはどうしても”産みの苦しみ”が伴うものなのだろう。それは教会の刷新もしかり。ただ、その苦しみの先には「復活」に連なる救いがある…そんな希望に支えられながら、これからの歩みを進めていきたいと思う。

都さん

　　去る６月４日（土）、今から２６年前に私が初めて神父として派遣された東京の立川教会でお世話になった、伊藤都さんと息子の正美さんが訪問して下さった。現在は正美さんのご家族が富山在住なので、同居されている親子お二人で休日を利用し、こちらへ来て下さったのだ。都さんは御年９４歳（※公表はご本人への了解済み）。風の家周囲の田畑や庭にもお元気な足取りで来て下さり、草花について専門家レベルの詳しいお話を伺うことができた。

　都さんのお姿を拝見していると、サムエル・ウルマンの「青春の詩」の一節を思い出す。"青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ…年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる…大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力と霊感を受ける限り、人の若さは失われない"
　私はまだ５０代半ば。都さんから学びつつ、いつまでも「青春時代」を送りたいと思う。

田植えの日々

　(申し訳ありません！この記事は5月３０日にアップしたつもりだったのですが、すっかり忘れておりました。二週間遅れですが、今からアップさせていただきます）

　今年も田植えの季節が到来した。この一週間、共働学舎の皆さんと共に、腰をかがめての「手植え」作業が続く。今年は例年よりも作業人数が少なく（学舎メンバーが減ったため）慣れぬ姿勢での長時間作業は楽とは言えない。人手の有難さを痛切に感じる。しかし、さわやかな風を受け、ホトトギスや春ゼミの声を聴きながらの作業はなかなか良いものだ。特に子どもたちが、泥まみれになりながら遊んでいる姿は微笑ましい。もし来年、少しでも体験したい方がいらっしゃれば気軽にどうぞ！