2021年 02月 06日
何という失態、後悔先に立たず。 |



ここ数日は小谷村でも天気が良く暖かい。しかしまだ2月初めであり、これからも当然しばらくは寒い日が続く。そこで、寒い中作業を続ける大工さんのために、新しい対流式灯油ストーブを購入し、風の家に持って行った。組み立ても終わり、現在2階で作業をしている大工さんのところに持って行き、ポリタンクから灯油を入れて、いよいよ使用開始の段階へ。その時、ふと取扱説明書を見ると大きな文字で「初めての使用時は、灯油を入れてから芯に灯油が染み渡るまで、約15分お待ち下さい」と書いてあった。ならば少し時間があるからと、私は残った灯油を1階休憩室の別の灯油ストーブにも入れ、空になったポリタンクを持って、1階の玄関にある”物置&灯油置き場”へ。そこは、外にある容量約400リットルの灯油タンク(写真参照)から直接パイプが引いてあり、蛇口をひねれば、雪の中でも外に行かずに灯油を入れられるようになっている。そして蛇口の下には、2個のポリタンクが置け、そこにもう一つのタンクが残っていた。
先ほど私が使用してきたポリタンクは既に空。また残っていたポリタンクも、確認するとこれも空だった。先ほどの「15分」までもう少し時間があったので、早速、1個目のポリタンクに灯油を入れ始める。ところでこの作業、蛇口から出てくる灯油の勢いが、思いのほか弱いのだ。安全のためかチョロチョロとしか出ず、一杯になるまでに意外と時間がかかる(とはいえ、18リットル缶の満タンまでに5分程度のものだが)。こうしてじっと待って1缶目が一杯になり、2缶目に入った時、せっかちな私はこう考えた。「そろそろ規定の15分。これからこのタンク満タンまで約5分ある。その間に2階に行って、新しいストーブに火を付けて戻って来れば一石二鳥だ!」。そこで急いで2階に上り、新しいストーブの点火作業に移った。
点火は別に難しいことではない。問題なくすぐに終わった(添付はその時の写真)。しかし、ここからがマズかった。普段このストーブを使用するのは、私ではなく作業している大工さん。だから私は「少しだけ、大工さんにストーブの操作方法について話しておこう」などと考えてしまったのだ。そこで私は、近くにいた大工さんに声をかけ、耐震装置や点火・消化レバーの操作について簡単に説明。するとちょうどその時、ストーブの火で発生した上昇気流により、改修のため剥き出しの茅葺き屋根に付着した、長年の囲炉裏から出た小さなススが揺れて、ふんわりと床に落下。そのため思わず、大工さんと新たな天井工事について話し合いを始め、結局その話しが盛り上がり・・・そんな流れの中で、ポリタンクに灯油を入れていることなど、私の頭の中からすっかり消えてしまった。それから約30分・・・2階での話し合いがようやく終わり、1階に降りて玄関を通り外に出ようとした瞬間、右手にある”物置&灯油置き場”の悲惨な状況が目に飛び込んできた。そこはもう・・・床一面、漏れ出した灯油の海。慌てて蛇口を閉めたものの、時すでに遅し。後で確認すると100リットル以上の灯油が床に溢れていた。
それからは・・・大工さんにも手伝ってもらい、室内にあった荷物を避難させ(すでに灯油に濡れてしまったものもあったが・・・)、共働学舎の宮嶋信さんに連絡して、裂織(さきおり)用の大量の布を分けてもらって床を拭き(写真は、床を拭き終わった後の状況)、灯油屋にも電話をかけ失った灯油を補充した。大工さんや信さんには迷惑をかけ、本当に申し訳なく恥ずかしい。そんな私をお二人は、快く助けて下さり感謝しかない。お陰様で2時間ほどかかったが、何とか片づけることができた。
新約聖書にこんな言葉がある。「あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし必要なことはただ一つだけである(ルカ10:41~42)」。ポリタンクに灯油を入れ始めたとき、気を散らすことなく、最後までその一つのことに集中していれば良かったのだ。でも、後悔先に立たず。昨日は、惨めな自分の姿を噛みしめる一日となった。結局、根本的なところで自分などあてにならない。頼れるのは神様だけだ。
by itokoshi
| 2021-02-06 18:37