2020年 12月 24日
十 クリスマスのご挨拶 |
本日、24日の夜からクリスマス。カトリック教会では、この救い主イエスの誕生日を”御降誕祭”とも呼んでいます。今から約二千年前、イエス・キリストは貧しい馬小屋で生まれました。父ヨセフは産気づいた母マリアと共に、必死で子どもを産むための場所を探しましたが、頼み込んだすべての宿屋に断られ、結局みすぼらしい馬小屋での出産を余儀なくされたのです。そこは糞尿の臭い漂う悲しい場所。イエスの誕生というのは、人間の目から見れば惨めでつらい、ある意味「闇」の中での出来事でした。しかし、その闇の中で救いの「光」は生まれたのです。救いの光は、明るく豪華な王宮のような場所にではなく、人間の目には価値のないのような場でこそ輝いたのです。
ところで、今私たちはコロナという「闇」の中にいます。そんな中で迎えたクリスマス。私たちはここで少し立ち止まり、落ち着いてこの闇を見つめたいと思います。それはかつての馬小屋のように、最初は一見何もない闇と思えるかもしれません。しかし、さらにじっくり見つめてみれば、実はそこにも小さな「光」が生まれ、輝いているかもしれないのです。あるいは、闇の中でこそ小さなロウソクの明かるに気づくように、一見「闇」と見えたその場は、今まで見落としていた「小さな光」によって明るく照らされているのかもしれません。その光は例えば、身近な人の優しさや思いやりのようなもの。あるいは忘れ去っていた過去の感謝の思い出のようなもの。希望の光である幼子イエスは、こうした「小さな光」として、かつても今この時も、闇の中で輝いているのです。そしてこうした小さな光こそ、これからどんなに大きな闇に包まれようとも、生きる指針と希望、そして励ましを、きっと与え続けてくれるのでしょう。
クリスマスは「闇の中に輝く光」が与えられる時。またそれに気づく時。皆様の日々の歩みに、幼子イエスの豊かな光のお恵みをお祈り申し上げます。 伊藤幸史
by itokoshi
| 2020-12-24 20:54