2020年 07月 09日
国道148号 |

さて先日、いつものようにこの国道を通って風の家に向かっていた時のこと。眠気覚ましも兼ねて車中でラジオを聞いていると(最近はトンネル内でもスマホを使ってラジオを聞くことができる)ある番組で気鋭の建築家が電話インタビューを受けていた。その中でインタビューアーが、次のような質問を投げかけた。「今はコロナで大変な状況ですが、こうした時期に建築家として新たな建築の形を考えていらっしゃいますか?たとえば、入り口に手洗い場を作るとか?・・・」しばしその場が和やかな笑いに包まれる。その後、彼がどんな答えをするだろうと耳を傾けていると、建築家は落ち着いた口調でこんなことを語ったのだ。「建築って基本的に鈍臭いんですよ。テンポがずれますから。建物をしっかり建てようとすれば、年単位で時間がかかります。すると、どうしてもある時期のある必要性からずれてしまう。状況が変化しますからね。だから僕は、ある時点での必要性じゃなくて、時代を超えて色褪せないものを大切にしたいですね」。
小谷への道は暗いトンネルの上り坂が続く。トンネル内を照らすほのかなライトの明かりを眺めがら、今聞いた建築家の言葉を心の中で繰り返す。”時代を超えて色褪せないもの”って何だろう、時代を超えて大切なものって一体何だろう・・・。国道148号。そんなことを思い巡らすのに相応しい一本道。
by itokoshi
| 2020-07-09 17:35