2020年 07月 02日
「国破れて山河あり・・・山河破れて国は?」 |

しかし当初から学舎では「拡大した田んぼは高価な機械作業には向いても、人力の”手植えの田植え”には広すぎて不向き」とか「自然な用水路がU字溝になれば趣もなく、生き物がいなくなる」そして何より「村がこんなに高齢化しているのに、田んぼを拡大して一体誰が世話をするのか?」という反対意見があった。そして案の定・・・田んぼは大きく四角く整備されたものの、今では”耕作放棄”され、草っ原になっている場所が点在する(写真参照)。
今、地方で農作業を主に担っているのは、以前取り上げた0さんのような高齢者(しかも後期高齢者!)なのだ。当然のことだが、多くの高齢農家はその広大な土地を持て余す。そしてもし、若者が就農して家族を養おうとしても、今の日本経済で農業だけで家計を成り立たせるのは至難の業だ。スマホや家電には何万円も惜しみなく金をかけるが、食費食材は切り詰め買い叩き、安ければ安い方が良い、と豪語する消費者がこの流れを加速する。都会の学校でもこうした地方の現状や、農業漁業体験など、まともに教えない。訪れる子供や青年に田んぼや牛舎を見せることがあるが、すぐに「キタナイ、クサイ!」と騒ぐ者がいる。そんな時、今でも農民は”見下され差別されている”と悲しくなる。現在日本では、多くの農村で外国人技能実習生が働いている。「キタナイ、クサイ」労働は、貧しい「ガイコクジン」に働かせておけば良い問題なのだろうか?
耕作放棄され、草っ原になった田畑を眺めながら思う。「国破れて山河あり」という。では「山河(田畑)破れて国は?」…と。
by itokoshi
| 2020-07-02 15:54